キャリア教育を安易に行ってはいけない【校長×校長】船橋市立高根東小学校 渡邉尚久校長(2) |

キャリア教育を安易に行ってはいけない【校長×校長】船橋市立高根東小学校 渡邉尚久校長(2)

2019.2.19

みらいスクール校長菅野と教育機関のリーダーと、教育をテーマに様々な対談をご紹介しています。今回のゲストは船橋市立高根東小学校校長の渡邉尚久(わたなべたかひさ)さんです。
 
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自己効力感をどうやって育てる?【校長×校長】船橋市立高根東小学校 渡邉尚久校長(1)


キャリア教育を安易に行ってはいけない

菅野

現在行われているキャリア教育は「職業」や「職能」の色が強いなと感じます。例えば小学校の課外授業で地域のケーキ屋さんに行き、ケーキ作りを体験して、楽しかったですという。
 
それが本当にキャリア教育なのか?というと僕は疑問に思います。どの仕事を選ぶとか、どの会社に入るとかではなく、キャリアというのは「生き方」そのものだと思うからです

 

渡邉

おっしゃる通りですね。うちもキャリア教育をやっていますが、去年はまさに「職業」から入っていました。
 
例えばサッカー競技場の写真を見せて「どういう仕事があると思う?」と子ども達に考えさせるんです。これって仕事から入っていますよね。それよりも「どんな人生にしたいか?」から入るのが大前提だと思うんです。
 

菅野

将来、会社や事業は20年サイクルで変わっていくと言われる中で、今の子供たちは50年近く働くことになる。働く時間の方が会社の寿命より長い可能性がある。だからどの会社に入るかよりも、本人の本当にやりたい事は何か?が大事になると思います。
 

渡邉

「7つの習慣」をギフテ!で教えていますが、第1の習慣と第2の習慣こそキャリア教育そのもののだと思っています。
 
第2の習慣は「終わりを思い描いてから始める」。人生の目的や目標をもって、突き進んで努力をしていく。でもそれだけじゃなくて、第1の習慣「主体的である」も必要。仮に好きな会社に入れても、やりたい仕事には就けないかもしれない。自分が望まない状況であれ、目の前のことを一生懸命やることも大事ですよね。

菅野

そうですね。
 

渡邉

だから「夢を持て」と言うだけでなく、与えられたポジションでしっかりやらなければ食っていけないんだよ、大人になったらきちんと働いて納税義務も果たさないといけないんだよ、という硬派なキャリア教育も必要だと思うんですよね。
 

菅野

本当にそうですね。子どもにはまず、社会に出る力をつけることが一番大事だと思います。その上で自分はどんな人になりたいかを考えられるといいなと思います。職業や仕事はそれを実現させる「手段」だと思います。

 

渡邉

小学生の「なりたい職業ランキング」がよく話題になりますが、あれも職業が目的になってしまっている。
 
本来なら、何か目的を達成するために、自分の特性を考えれば〇〇という仕事が適していて、多くの人を幸せにできるという順に考えて職業を選ばないといけないのに。「職業は手段でしかない」ということをキャリア教育の現場で教師が教えられているか疑問です
 

菅野

ギフテ!も「職業ごっこ」で終わらないように気を付けています。例えば「キッズドクター体験」だったら、「患者さんに感謝される瞬間が一番うれしい」という仕事のやりがいも必ず先生から伝えてもらいます。
 
ただ仕事を真似して終わる「形骸化したキャリア教育」をやってはいけないと、強く思いますね。
 

渡邉

安易にやってはいけないですよね。小学校教師は、企業で働いた経験がほとんどありません。その中で、キャリアについてどこまで掘り下げて、子ども達に教えていくのか、十分に気を付けなければいけない。
 
社会を経験してないから教員がダメだとは思わないですし、民間のやり方が全ていいと手放しで取り入れるのもよくない。バランスが大事だと思います。

▼渡邉尚久(わたなべたかひさ)さんの授業はギフテ!でも受けられます

【次回の開催は4/6(土)】
子ども版「7つの習慣」!リーダー・イン・ミー教室


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まわ

まわ

京都市出身。大学卒業後に出版社を経て広報の道へ。中小企業診断士、販売士一級の資格を保有。最近、趣味で家庭菜園を始め、自分で育てた野菜でサラダを作るのが目標。