子ども時代に大切な「安全基地」と「異年齢との関わり」〜【校長×校長】First Classroom世田谷 園長 橋井健司氏(1)〜 -

子ども時代に大切な「安全基地」と「異年齢との関わり」〜【校長×校長】First Classroom世田谷 園長 橋井健司氏(1)〜

2018.10.26

みらいスクール校長の菅野と教育の知見の深い教育機関のリーダーとの、教育をテーマにした様々な対談をご紹介していきます。育児や教育へのヒントになれば幸いです。
 


第一回目ゲストは「世界基準の幼稚園 6歳までにリーダーシップは磨かれる」の著者、橋井健司さんです。
 
橋井さんは元々外資系企業のサラリーマンとして、海外との事業を指揮されていました。そこで、国際的な場における日本人の弱さを痛感し、世界で通用する力を幼少期から育てたいという思いでグローバル基準の幼児園「First Classroom」を設立。東京・世田谷区で屈指の人気幼児園となり、2019年には梅ヶ丘と大阪にもオープン予定です。
 

橋井健司(はしいけんじ)さんプロフィール

静岡県生まれ。1993年から2006年まで外資系企業でオーガナイザーとして海外とのコンベンション事業を指揮する。2007年1月新教育デザイニング株式会社設立。同年3月、幼児園「First Classroom」開園。著書に光文社「世界基準の幼稚園 6歳までにリーダーシップは磨かれる」。

 

子どもの安全基地を作ることが基本

菅野

「First Classroom」を運営される上で一番大切にされていることはなんですか?
 

橋井

できるだけありのままの姿でいさせてあげることですね。一人一人「これでいいよね」と現状を肯定してあげること。そうすると子ども同士のコミュニティもそうなります。「なんであいつはできないの?」とか言わなくなる。それがすごく大切です。例えば全員集合するときに集まらない子がいても、馬鹿にしたり、軽蔑したりしなくなる。そうすると、子どもの良さがどんどん出てくる。「マイペースを保証してあげる」を大切にしています。
 

菅野

ご著書にあった、マズローの欲求段階説※の「所属と愛の欲求」を満たしてあげる、ですよね。あなたはあなたでいいんだよ、と。欲求を満たすと次の段階に進んで他の人との関わりがきちんとできてくる。
 
※マズローの欲求段階説
人間の欲求を①生理的欲求②安全欲求③所属と愛の欲求④承認欲求⑤自己実現欲求の5段階に分類。①~⑤の順番で人間は満たしたい欲求が現れるとしている。
 

橋井

今の大人って子どもに求めすぎている部分があると思います。生まれてまだ3~4年しかたっていない子どもに社会性を過度に期待してしまうところがあります。1対1で愛着を与えて心の安全基地を作らないといけない時期にも関わらず、団体行動のルールを守ることや、得意なことを見つけることなど。少し急いでいるのかなと感じています。
 

菅野

うちの息子が3月生まれなので周囲の子どもより進みが遅いんですね。なかなか一つのことに集中したり、周囲の大人の期待通りに動けないことが多いみたいです。でも自分も中学くらいまでずーっと落ち着きがなかったし(笑)、いろんな事に目が行くってむしろいいじゃんと勝手にポジティブに捉えているんですけど。
 

橋井

私の園もそうですよ。見てください(誕生月ごとの生徒を書いた張り紙を見ながら)。7月~3月生まれの子が多いんです。画一的な教育っていうのは4~6月生まれの子たちはついていきやすいけど、後ろの子たちには少し難しい場合がある。のんびり育てたいから当園を選んだという親御さんも多いですね。
 

菅野

本当だ。4・5・6月生まれがほとんどいない!

 

異年齢教育へのこだわり

橋井

当園でもう一つこだわっているのは異年齢環境です。2歳後半から6歳までの子どもが一つの部屋で過ごします。異年齢を一緒にみるのは大変です。興味のあること、動き、寝る時間、食べるスピードなど全然違う。同年齢だけの集団を援助する方が絶対に楽です。だけど卒園する時に、同年齢だけでいたらこうはならないだろうな、という凛々しい姿を見せて卒業してくれるんですよね。大変な分以上の価値がある。見学に来た保育園の先生からも「異年齢環境のマジックですね」と言われます。

(First Classroomでは2歳後半から6歳までが一緒に遊ぶ異年齢教育を取り入れている)
 

菅野

多様であることを感じられる環境が大切ということですか?
 

橋井

多様性だけなら同年齢でも感じられますが、年齢が異なると力関係が違ってきますよね。みんなで行動する時、上の子は下の子に待たされたり、面倒みないといけなかったり、積み上げたおもちゃを壊されたり、理不尽なことも起きる。また、下の子からすると、遊びの場や道具では上の子が権限を握りやすく、自由が制限されたり、上の子と上手にやっていかないといけない。でも大人の世界でも同じようなことはありますよね。生物社会には必ず年齢差や上下関係があるのに、子どもだけ同年齢だけで過ごし、進級していくっておかしいと思うんですよね。
 

菅野

社会の縮図になっていない。
 

橋井

そうです。もし僕が小学校をやるチャンスがあれば、絶対に異年齢でクラスを構成しますね。
 

菅野

昔は兄弟や親戚がいて、異年齢同士で遊ぶ環境がありましたけど、今は家で同年齢の子とゲームしたりして遊ぶことが多い。同年齢で集まるからこそ、他の子との比較に繋がるような気がしますね。「あの子はできるのにうちの子はできない」みたいな。
 

橋井

見てて興味深いのが、異年齢でいると苦手な事は年下の子とやるんですよね笑 
苦手なことでも、年下の子から見たら上手に見えて、逆に尊敬されたりして。
 

菅野

年下に教えることで、上達にもつながりますよね。
 

橋井

そして、異年齢環境で最も注目すべきことは、年長が耀き、満足することです。上の子たちが耀いていれば、下の子の成長目標になり、クラス全体がイキイキとしてきます。先生たちにも「下の子への援助が中心にならないよう、一番上の子を満足させてほしい」とよくお願いします。先生はつい一番下の子どもに目がいきますが、全体の成長を考えるとそれがとても大切なんです。
 

菅野

僕たちの体験も小さい子に目が行きがちですね。確かにできる子は大人が相手してあげないと伸びるものも伸びない。参考になります、すごく。
 
(つづく)
 

この対談は全3回でお届けします。
・10/28(日)更新 「親子でダラダラ過ごしたっていい」
・10/30(火)更新予定 「これからを生きる子どもに一番大切なこと」

この記事の続きはこちらです

親子でダラダラ過ごしたっていい〜【校長×校長】First Classroom世田谷 園長 橋井健司氏(2)〜

これからを生きる子どもに一番大切なこと〜【校長×校長】First Classroom世田谷 園長 橋井健司氏(3)〜


 

橋井さんの著書:世界基準の幼稚園 6歳までにリーダーシップは磨かれる

グローバル基準の保育を行う世田谷区の人気幼児園「First Classroom」。「食事や睡眠はマイペースでやらせる」「甘えた子ほど面倒見のよい子になる」など、園で実践している18の理論を紹介。園長・橋井健司氏が、欧米諸国の子育てや心理学によるアプローチを研究・実践してきた中で、「子育てには正解がある!」と確信したメソッドが学べます。

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まわ

まわ

京都市出身。大学卒業後に出版社を経て広報の道へ。中小企業診断士、販売士一級の資格あり。好きな映画は「マイ・インターン」。最近、家庭菜園を始め、自分で育てた野菜でサラダを作るのが目標。