みらいスクール校長の菅野と教育の知見の深い方々との、教育をテーマにした様々な対談をご紹介していきます。育児や教育へのヒントになれば幸いです。
今回は、ギフテ!の思考力を鍛える体験の先生、荒木博行さんです。
この記事はこちらの続きです
ぐるぐる悩み続ける子ども達
菅野
荒木さんの「考える体験」のエッセンスを少し教えてもらえますか?
荒木
子どもっていつもいろんなことで悩みますよね。だけど正しい悩み方を知らないから、いつまでも思考がグルグルして、時間切れになって、結局親に助けを求めたり、なんとなく決めてしまったり。そういうことを繰り返している子が多いと思います。
例えば小学校でどのクラブに入ろうかを悩むとき、「友だちがマンガクラブに入っている」「けど他のクラブも興味がある」とかで、グルグル悩んで、結局、時間切れになってマンガクラブでいいや、という風に決断しがち。
こういう時に、「考え方」を知っていれば、まず入りたいと思えるクラブは何個あるだろう、とリストアップする。次に自分が大事にしたい判断の基準は何個あるだろう、とリストアップする。それらを〇×つけて比べると、結果的にマンガクラブを選んだとしても、納得感が全然違うし、自分の決断に自信を持てるようになります。
菅野
自分の子どもを見ていても、今頭の中がもやもやしているだろうなって時ありますよね。
そういう時に下す決断は、思考が飛んで、「感情=決定」になりがち。そこに、ワンクッション置いて、自分の思考を入れてあげると、後で「なぜこの決断をしたか」を振り返ることもできるし、失敗したら修正もできる。そのすき間をつくってあげる事は大事ですよね。
荒木
受験校を選ぶのも大きな選択ですよね。「制服がかわいい」も大事だけど、本当にそれだけで選んでいいの?他に大事にしたいものはないのか?と考えると、「家から近い」、「偏差値が高い」、「学校の設備がいい」とか出てくるわけです。
じゃあ、いったんどこの学校にするかはおいといて、大事にしたいことを全部リストアップする。すると他の学校も候補にあがってくるかもしれなない。
最終的に「制服のかわいさ」の重要度が高くて、ここの学校がいい、となればそこを選べばいい。でも、親と衝突する場合もあるわけですよね。「制服だけで選ぶな」とか(笑)
じゃあ一回ホワイトボードで整理してみよう、という知恵があれば、親子で冷静な議論ができます。それがないと感情的な議論で終わってしまう。

▲「思考を外に出す」トレーニングは体験の大事なエッセンス
菅野
思考を使うための道具があるといいですよね。
うちもホワイトボードを壁に貼っています。悩んだときに書きだしてみると、思考が可視化されて、客観的になれます。頭の中にあるものを、一回外に出すしかけが家庭にもあるといいですよね。
荒木
思考を視覚化できる手段を、子どもの時に身に付けられたら、生きていくのにすごく武器になりますよ。多くの子どもが、いろんなことを考えているのに、もやもやしたまま、内面を出せずに終わっている。
菅野
学校ではなかなか教わらないですしね。
荒木
「物事の決め方」とかはあまり教えていないですよね。
よくあるのが、クラス全員でやる遊びを決めるとき、「ドッチボールがいい」「ドロ警がいい」と意見を出しあって、最後は多数決で決めるというケース。
なぜドッチボールになったか?という決定プロセスはブラックボックスのまま。不満を持っている子もいるけど多数決だから仕方ないと諦めてしまっている。
集団でものごとを決める際に、「何を大事にするのか?」をクリアにしないまま、判断軸がばらついているなかで無理やり決めていくことが多い。これって社会の縮図みたいだなと。もちろん、最終的に多数決をとるのは仕方ないけど、決めるプロセスや判断軸を明確にした方がいい。
菅野
多数決は、「やりたい」という感情の多い方が選ばれる。感情という一つの判断軸しかない危うさがありますよね。
何を判断軸にするかを明確にすれば、ドッチボールじゃなくても、他にもっといい答えが見つかるかもしれない。全体を見た上で、判断できるようになればいいですよね。
第3回 「オプションのある人生を」に続く
►この対談は全3回でお届けします。
・第1回 「ビジネススクールで学ぶことをもっと身近に」
・第2回 「思考を視覚化できると一生の武器になる」(今回)
・第3回 「子どもにはオプションのある人生を送って欲しい」

まわ

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