みらいスクール校長の菅野と教育の知見の深い教育機関のリーダーとの、教育をテーマにした様々な対談をご紹介していきます。育児や教育についてヒントになれば幸いです。
今回のゲストは武蔵野女子学院中学校・高等学校の校長先生、日野田直彦さんです。
この記事は、こちらの続きです。
グローバル教育って何?
日野田
日本でよく「グローバル」という言葉を使いますが、外国ではあまり聞く言葉ではありません。
英語が話せる事がグローバルとしたらそれは間違いですね。ケンブリッジ大学の入試で必ず質問されるのは「あなたはどういう存在として覚えられたいですか?」。ハーバード大学では「あなたはどうやって貢献したいですか?」。英語力の前にこうした質問に答えられることが海外では求められます。
菅野
アイデンティティが確立されていないと答えられないですよね。
日野田
英語が話せないといけないというのは親の劣等感の裏返しでもあります。2050年頃に日本のGDPはブラジルやメキシコを下回ると予想されています。英語だけでなく、スペイン語だって必要になる。今の高校生が50才になる頃の世界は変わっている。そういう事実を保護者もちゃんと知った方がいい。
日本で「就職ランキング」がありますが、今やトヨタ自動車でも時価総額でみればNETFLIXとほぼ同じ。だから親が一生懸命、子どもを日本の大企業に行かせようとしますが、よく考えた方がいいですよって。
菅野
そうですね。いい学校に行って、いい会社に就職すれば安心みたいな親の価値観とは、ずいぶん変わりますよね。

日野田
そもそも、日本には本物のグローバル教育をできる人が殆どいません。文科省が高校の英語の学習指導要領には「TOEFL iBT 60点前後」と目標値が書かれています。
TOEFLスコアが伸びない理由はスピーキングです。日本人は試験中でも黙ってしまうことが多いのではと思います。