少し前からよく耳にするようになった“STEM(ステム)教育”。
Googleで検索すると、1,500万件以上もヒットし、昨今の教育を考える上では欠かせないキーワードとなっています。
本記事では、注目度の高いSTEM教育とギフテ!体験との関わりについて、触れたいと思います。
そもそもSTEM教育って?
STEM教育とは、簡単に言うと理系教育のことを指します。
Science(科学), Technology(技術), Engineering(工学), Mathematics(数学)の頭文字をとったものです。
(これらにArt(芸術)を加えたSTEAM教育もありますが、また別の機会に)
STEM教育のはじまり
1990年代にアメリカで議論が始まったものですが、2000年代に入り、中国を初めとする諸外国の科学技術追い上げへの対応案の一つとしてクローズアップされ始めました。
アメリカが直面する脅威の例として、当時の新設化学工場数を例に、アメリカ1に対し中国は50などが挙げられています。
その上で、健康・経済発展・環境資源保全・国防の大部分が科学/技術革新に依っており、STEM領域の人材確保は国力維持に必要不可欠というものです。
アメリカのSTEM教育、最近の動向
政治的には、2006年にブッシュ大統領の一般教書演説中の米国競争イニシアティブで施策とゴールが設定され、オバマ大統領も方針を継承・拡大。トランプ政権下でも取り組みは継続しています。
施策とゴールの例として、
- ・2020年までに初等・中等教育でSTEM分野の教師を10万人養成
・高校卒業までの各学年で、本物のSTEM教育を経験する生徒数を50%増加
・STEM関連学位の卒業生を10年間で100万人増
・STEM分野への女性・マイノリティの進出を10年間で拡大
などを挙げています。
(FEDER A L SCIENCE, TECHNOLOGY, ENGINEERING, AND MATHEMATICS (STEM) EDUCATION 5-YEAR STR ATEGIC PLAN. 2013)
STEM教育の世界的広がり
このようにアメリカの政治的な理由から提唱され始めたSTEM教育ですが、日本含む各国で取り組みが進められています。
その背景には、
-
1.ITやインターネット分野での企業の台頭
2.業務能力や一般常識としてのSTEM知識の必要性
などがあると思われます。
1は、GoogleやFacebook、Appleなど、私たちにもなじみ深い企業がすぐにイメージできます。
2は、1によるIT関連職業の増大や、インターネットでの情報真偽の判断、発展する医療などへの向き合い方など日常的なシーンでかつてよりも知識が求められることを指しています。
STEM教育は子どもに関係あるの?
「理系・文系って分かれるのは普通は高校からだから、考えるのはまだ少し早いかな?」と感じられるかもしれません。
実際、日本では小学校で2020年からプログラミングが必修化されますが、抜本的な学校教育の改変までは至っていません。
しかしながら、アメリカでは年少での科学的姿勢への差異がそのまま中学まで維持されるという研究*1もあり、「子供の選択肢の幅を広げる」という意味合いでは小学生くらいから意識してもよいのではないかと思っています。
STEM教育からみたギフテ!体験の意味とは?
STEM教育とは言っても、「結局は子ども次第」というのが実際のところ。
子どもに以下のような自覚がないと、何かに積極的・持続的に取り組むことはできません。
-
1.物事への興味や、取り組みから得られる喜び
2.自分がやりたいことへの必要性・重要性
3.いまできると便利で、将来役に立つと思えること
ギフテ!では、特に1のきっかけを提供できるよう、体験を組み立てています。
本やTV、動画などで物事があることは知れても、それだけで興味がわくとは限りません。
実際にやってみたときにどう思ってどう感じたか、実体験からのタネを子どもたちに持って帰ってもらいたいと思っています。
関連体験
ロボットをお持ち帰り!親子プログラミング教室
宇宙兄さんズと宇宙ミッション体験!
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*1 Science Achievement Gaps Begin Very Early, Persist, and Are Largely Explained by Modifiable Factors
アメリカの7,757人の児童について、幼稚園から中学までの経年調査データを元にした分析。
幼稚園・小学1年生での知識到達テスト、小学3年生・5年生・中学3年生時点での科学到達度テストのスコア推移を比較し、差異をうむ要因をあぶり出すことが目的。
結果、それぞれのテストスコアは直前のテストスコアと相関が高いとの結論(中学3年→小学5年、小学5年→3年、小学3年→1年、小学1年→幼稚園)。
分析には、人種・生活保護有無・性別・家族構成・家庭での英語利用有無などの要素も加味されており、それぞれの塊ごとに上記の傾向がある。
なお、小学校は5年制・中学校は3年制として記載(中学3年生は日本の中学2年生と同年齢)
参考
・Wikipedia-STEM教育
・FEDER A L SCIENCE, TECHNOLOGY, ENGINEERING, AND MATHEMATICS (STEM) EDUCATION 5-YEAR STR ATEGIC PLAN. 2013
・Science Achievement Gaps Begin Very Early, Persist, and Are Largely Explained by Modifiable Factors. 2016
・Attitudes towards science: A review of the literature and its implications. 2010

いざわ

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