大工さんの伝統工法「規矩術」と「算数」。体験が学びにつながる瞬間。(大工体験より) |

大工さんの伝統工法「規矩術」と「算数」。体験が学びにつながる瞬間。(大工体験より)

2018.9.11

ギフテ!で人気の大工さん体験。
屋外で一棟たててしまう体験の他に、室内で行う椅子作り体験があります。

今日はそこで教えてもらったお話です。
 

大工の伝統技法、規矩術(きくじゅつ)

重要な大工道具である「差し金」を使った規矩術(きくじゅつ)という伝統的な技術を学んだのですが、これがとても興味深い内容でした。
 
「差し金」はご存知の方もいらっしゃると思いますが、金属でできたL字型の定規です。

規矩術とはこの差し金を使い、直線だけでなく、角度や曲線も引いて、設計図を書く技術のことです。
 

差し金一本で何でもできる!

ここで質問です。差し金で直角以外の角度を出すにはどうすればよいでしょうか?
 
例えば45度を出す場合はどうでしょうか。
 
正解はL字型のそれぞれの長さを同じところで結ぶと直角二等辺三角形ができます
小学生の算数の知識ですが、これで45度が出せるのです。
 
大人なら1:1:√2という三角関数で考えることもできます。
この考え方を応用して二辺の比率を変えればどんな角度も出せます。
これを「勾配(こうばい)」と呼び、10:2だと二寸勾配、というように表現していきます。
 
 
次に曲線を書くのはどうするでしょうか?
 
これは参加者のお子さんが正解を言ってくれました。
差し金は金属なので曲がるのです。(現代はアルミでできています)
なので2つの点の距離を決めておけば差し金の辺との関係で、カーブの強弱も思いのままに描けるのです
 

体験を通して学びの本質にふれる

子ども達は自分が学校で習っている算数と、大工さんの昔からの知恵が一致してとても不思議そうな表情でした
でも本当は勉強ってそういうものですよね
大工さんに大切なことを教えてもらった気がします。

 

便利な規矩術。もともとは中国の技術でした

最後に余談ですが、この規矩術は中国で編み出されたものだそうです。
その目的は前述のように複雑な角度やカーブが必要な建築のためでした。
 
この規矩術を日本に導入したのは誰だと思いますか?
 
答えは「聖徳太子」
聖徳太子は仏教を中心とした国づくりを進めたと歴史の授業で習った気がしますが、そのためにお寺を建設する技術である規矩術を輸入したそうです。
お寺の屋根はカーブしているので規矩術が必要だったのですね。
 
感心して歴史の年表を見てみると、聖徳太子の偉業の隣に法隆寺の文字が。
現存する世界最古の木造建築ですね。

その法隆寺を建てるために輸入された技術と道具を、今も大工さんが大切に使っていて、その考え方が、小学校で習う算数とも結びついているなんて、なんだかとても不思議な気持ちになりました。
 
我々が提供している学び体験は、大人の世界と子どもの関心をつなぐ存在を目指しています
大人の世界にふれることで、日々の学校の勉強が面白くなることは理想の一つですね!


本物の大工さんが先生。プロに学ぶ大工体験。

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一棟建てます!大工体験

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校長すがの

校長すがの

岡山県出身、東京都在住、二児の父。趣味は音楽とアウトドア。会社の夢は未来の学校をつくること。個人の夢は世界3大ロックフェスに行くこと、5ヶ国語喋れるようになること、世界7不思議を見ること。